厚生労働省のカスハラ対策資料まとめ|指針・マニュアル・リーフレット・研修動画

厚生労働省のカスハラ対策資料(告示51号の指針、解釈Q&A、企業マニュアル令和8年度改訂版、リーフレット、ポスター、研修動画、業種別マニュアル)がどこにあり、いつの版で、何に使う資料なのかを2026年10月5日時点で整理します。解釈Q&Aの9月30日改訂など、版の確かめ方も載せています。

更新
2026年10月5日
法令・資料の確認
2026年10月5日
読了の目安
10分
目次
  1. 資料は2つの入口にまとまっている
  2. 資料は「性格」で分けて読む
  3. 資料ごとの所在と日付
  4. 版と日付を確かめる3つの点
  5. 使うときの条件
  6. 場面別:どれを開くか
  7. 資料を配るだけで措置を講じたことになるか
  8. よくある質問
  9. 次の一手

厚生労働省のカスハラ対策資料は、厚生労働省サイトの「職場におけるハラスメントの防止のために」と、同省のハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」の2か所から入手できます。事業主が講じなければならない措置の中身を定めているのは法律と指針(令和8年厚生労働省告示第51号)で、解釈Q&Aはその読み方を示し、企業マニュアル・リーフレット・ポスター・研修動画は理解と周知に使う資料です。2026年10月5日に確認した時点で、解釈Q&Aは9月30日に改訂されて問の番号が変わり、企業マニュアルは9月8日に更新されていますが、指針の告示前に作られた教材も同じサイトに並んでいます。

この記事は、資料の所在と日付、使い分けをまとめた一覧です。資料の中身の説明は、各節からリンクする記事に譲ります。

資料は2つの入口にまとまっている

1つ目は厚生労働省の「職場におけるハラスメントの防止のために」です。指針、解釈Q&A、通達、リーフレット、パンフレットは、カスハラと求職者等へのセクハラの義務化の節に載っています。企業マニュアルとポスターがあるのは、カスタマーハラスメントの節です。改正法そのもの(令和7年法律第63号)の概要・条文・新旧対照と、施行期日を定めた政令は、別ページの「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」にあります。

2つ目は「あかるい職場応援団」です。資料ダウンロード、研修動画、業種別の取組支援、企業事例、裁判例、相談窓口の案内があります。同サイトの改正法の特設ページは、改正法・指針・Q&Aについては厚生労働省のページで確認するよう案内しています。

資料は「性格」で分けて読む

同じ「厚労省の資料」でも、義務の中身を決めるものと、その理解や周知を助けるものがあります。次の表の「性格」は、各資料の位置づけをもとにした編集部の整理です。

資料 性格 主に使う場面
労働施策総合推進法 33条・34条 措置義務(33条1項)と努力義務(34条2項など)の根拠 何が義務かを確かめる
指針(告示51号) 法33条4項に基づいて厚生労働大臣が定める、講ずべき措置の中身。4は「講じなければならない」、6・7は「望ましい」取組 自社の措置を点検する
解釈Q&A 厚生労働省 雇用機会均等課が示した解釈 指針の読み方に迷ったとき
運用の通達 都道府県労働局長あての通達(雇均発0424第2号) 行政の運用を確かめる
企業マニュアル(令和8年度改訂版) 委託事業の改訂検討委員会がまとめた手引き 方針、対処の内容、相談の体制を考える
リーフレット・パンフレット 法律と指針の要約 社内や経営層への説明
ポスター・研修動画 周知・啓発の教材 従業員への周知と研修
業種別マニュアル 業界で共通の方針と、場面ごとの対応例 自社の業種で起きやすい場面を探す

措置の義務を定めているのは、上の2段(法律と指針)です。解釈Q&Aから下の資料は、その読み方や進め方を示します。措置の一覧と根拠は「カスハラ対策の義務化とは」に、指針の項ごとの性質は「告示51号を項ごとに読む」にまとめています。

資料ごとの所在と日付

法律と指針

改正法は2025年6月11日に公布され、カスハラ対策の措置義務は2026年10月1日に施行されました(令和8年政令第17号)。カスハラの指針(告示51号)と、求職者等へのセクシュアルハラスメントの指針(告示52号)は、2026年2月26日に公布され、10月1日から適用されています。

告示51号のPDFは、開くページによってファイルが違います。改正法のページから開くのは縦書き30頁のPDF、「職場におけるハラスメントの防止のために」から開くのは横書き13頁のPDFです。頁数が違うので、社内資料で指針を引用するときは、頁ではなく「4(1)イ」のような項目の番号で示すと、どちらのファイルでも探せます。

求職者等へのセクハラの指針の読み方は、「告示52号を項ごとに読む」にまとめました。

解釈Q&Aと通達

「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(解釈Q&A)は、2026年4月24日に公表され、9月30日に改訂されました。表紙には、9月30日に改訂し10月1日から適用することが書かれています。4月24日の版は問1〜問41、改訂版は問1〜問45です。

改訂で問の番号が変わりました。たとえば、顧客対応がない部署の労働者にも方針の周知や研修が要るかという問は、4月の版の問9から改訂版の問8へ移りました。4月の版の問6は、カスハラに当たるか否かを都道府県労働局が判断するかという問でした。改訂版ではハラスメント全般についての問に広げられ、全体に関する問45になっています(判断は行わないという答えは同じです)。

同じ日(2026年4月24日)には、都道府県労働局長あての通達「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第10章の規定等の運用について」(雇均発0424第2号)も出ています。

企業マニュアル

「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」は57頁のPDFです。令和3年度に作られたマニュアルを、法改正等の内容を反映して改訂したもので、はじめにの日付は令和8年9月、掲載ページの表記は「令和8年9月8日更新」です。令和8年度内に企業へのヒアリングを行い、再改訂する予定とされています(印字p.2)。

講じなければならない措置は4章(印字p.18〜)、望ましい取組は4.7(印字p.45〜)、自社の点検に使うチェックシートは付録1(印字p.51)にあります。マニュアルの使い方は「カスハラ対応マニュアルの作り方」、チェックシートと他の公的なチェックリストの使い分けは「カスハラ対策チェックリスト」で扱っています。

リーフレット・パンフレット・ポスター

国の資料で、施行に合わせて作られたものは次のとおりです。

ポスターは、厚生労働省のページに5つのデザインと、任意のイラストを追加できるものがあります。あかるい職場応援団の「NO!カスハラ」ポスターには、社内の相談窓口を案内するスペースがあります。周知物の作り方は「相談窓口を従業員に周知する方法」を、方針の例文の所在は「カスハラ基本方針の例文・テンプレート」を参照してください。

研修動画

あかるい職場応援団の「ハラスメント対策研修」に並んでいるのは、「NEW」と表示された4本(Ⅰ事業主向け、Ⅱ相談窓口担当者向け、Ⅲカスタマーハラスメント対策、Ⅳ就活ハラスメント対策)と、スーパーマーケット業界・宅配業の業種別の研修動画です。それぞれに研修資料のPDFが付いています。

このほか、改正法の特設ページにも、カスハラと求職者等へのセクハラの説明動画があり、カスハラの説明動画の資料には告示51号の抜粋が載っています。

研修で動画をどこまで使えるかは、「カスハラ研修は義務?」の「無料の公的教材の使いどころ」の節にまとめました。

業種別の資料

あかるい職場応援団の「業種別カスタマーハラスメント対策の取組支援」に、2つの業種のマニュアル、ポスター、研修動画があります。

  • スーパーマーケット業編:2025年3月26日に報道発表。ポスターはコメントを書き込めるものと書き込めないものの2種類
  • 宅配業編:令和7年度の取組支援で作られたマニュアルで、ステッカーもあります
  • 業種別マニュアルの策定手順例(令和7年3月):業界団体が共通の方針を作るときの手順の例

医療と介護については、厚生労働省の別の部局が資料を出しています。医療は「医療従事者の勤務環境の改善について」に暴力・ハラスメント対策のeラーニング教材(全12本、1本20分程度)があり、令和8年度の業種別の取組支援は医療業が対象です(2026年9月14日の検討会資料 p.9)。介護は「介護現場におけるハラスメント対策」に、マニュアル、管理者向け・職員向けの研修の手引き(令和3年度改訂版)、事例集があります。

業種ごとの使い方は、「小売業のカスハラ対策」「医療機関のカスハラ対策」「介護施設のカスハラ対策」の各記事が詳しく扱います。

事例・裁判例・相談先・支援

版と日付を確かめる3つの点

1. 解釈Q&Aは、版と問の番号を合わせて引く

社内資料や外部の解説が4月24日の版の問番号で書かれていると、改訂版では別の問を指すことがあります。引用するときは「9月30日改訂版の問8」のように版を添え、問の番号は改訂版の目次で探し直します。

2. 指針の告示前に作られた資料が、今も並んでいる

研修動画Ⅲ(カスタマーハラスメント対策)の研修資料は、表紙に令和7年度の厚生労働省委託事業とあります。指針については「告示:2026年2月(予定)」と書かれ(p.5)、指針(案)の概要に「※公布前のため、指針の内容は変更される可能性があります。」と注記しています(p.7)。宅配業の研修資料も、指針を「告示される予定」と書いています。「職場におけるハラスメントの防止のために」に今も載っている「カスタマーハラスメント対策リーフレット」は、表紙に令和3年度の厚生労働省委託事業とある、改正前のものです。

こうした資料は、カスハラとは何かを知る教材としては使えます。措置の中身は、告示51号と企業マニュアル(令和8年度改訂版)で確かめます。

3. ページの注記より、資料そのものの日付を見る

あかるい職場応援団の資料ダウンロードでは、カスハラの3つの欄に「※雇用管理上の措置を義務付ける法改正の成立前の内容となっておりますのでご留意ください。」という注記が付いています。ところが、注記の付いた欄にある6頁のリーフレットは「令和8年3月作成」で、表紙に2026年10月からの義務化と2026年2月の指針の策定が書かれています。注記と資料の作成時期が合わない欄があるので、資料の新旧は、表紙や末尾にある作成年月で判断します。

使うときの条件

あかるい職場応援団の資料ダウンロードは、出典を明記して使うこと、営利目的での使用は遠慮することを求めています。研修動画のページには、次の4つの注意があります。

  • 申請や連絡は不要で、出典を明示して利用する
  • 一部を切り取るなどの加工はしない
  • 営利目的での使用は遠慮する
  • 動画はダウンロードできず、ストリーミング再生で見る

どこまでが「営利目的」に当たるかは、ページには書かれていません。

場面別:どれを開くか

場面 開く資料 詳しい記事
何が義務かを確かめる 告示51号の4、リーフレット詳細版 義務化とは、告示51号を項ごとに読む
指針の読み方に迷う 解釈Q&A(9月30日改訂版) 告示51号を項ごとに読む
方針と対処の内容を決める 企業マニュアル4章、パンフレットの対応例 マニュアルの作り方、基本方針の例文
自社の状況を点検する 企業マニュアル付録1 チェックリスト
全員に周知する ポスター、リーフレット、研修動画 窓口の周知、研修は義務か
相談窓口の担当者を育てる 研修動画Ⅱ、企業マニュアル4.3.2(印字p.36) 相談窓口の作り方
業種で起きやすい場面を探す 業種別マニュアル、医療・介護の資料 小売業、医療、介護
事案が起きて対応に迷う 伴走型支援、総合労働相談コーナー カスハラ事例集
求職者等へのセクハラも整える 告示52号、解釈Q&A 告示52号を項ごとに読む

資料を配るだけで措置を講じたことになるか

解釈Q&Aの問20更問は、業界団体が作成した業種別マニュアルを配布するだけでは、指針4(1)イ・ロの措置義務を果たしたことにはならないと答えています。業界団体のマニュアルを参考に、自社の実情に応じて調整し、方針の明確化と対処の内容の策定を行って周知すれば、措置義務を果たしたことになるとしています。自社の方針と併せて業界団体のマニュアルを配ることは、効果的と考えられるとも書いています(印字p.26)。

厚生労働省の企業マニュアルやリーフレットについて直接答えた問答はありません。ただ、同じ考え方が当てはまると考えられます(編集部の解釈)。公的な資料は自社の方針と対処の内容を決めるときの参考にし、方針と対処の内容そのものは会社が定めて周知します。

よくある質問

厚生労働省の資料を使うのに申込みは要りますか

資料はどれも、掲載ページのリンクから直接開けます。研修動画のページは、申請や連絡は不要で、出典を明示して利用するよう書いています。

東京都の資料とはどう違いますか

東京都の指針やマニュアルのひな形は、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の側の資料で、国の資料とは別の制度に属します。国の措置義務の根拠は、労働施策総合推進法と告示51号です。条例と国の法律の関係は「東京都カスハラ防止条例とは」で扱っています。

実態調査の数字はどこにありますか

厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査」は、「職場におけるハラスメントの防止のために」の「より詳しい情報について」の節からたどれます。国・自治体などの5つの調査の比較は、「カスハラの実態調査まとめ 2026」にあります。

次の一手

  1. 手元の資料の版を確かめます。解釈Q&Aは表紙に9月30日改訂の表記が、企業マニュアルは表紙に令和8年度改訂版の表記があるかを見ます
  2. 告示51号の4の措置と照らして、自社でできていることと足りないことを分けます
  3. 足りない措置ごとに、上の「場面別」の表から資料と記事を開きます

2つ目の確認には、ハラスメント対策室の無料の対応状況チェックが使えます。8領域・16問に答えると、約2分で自社の対応状況を確かめられます。登録やメールアドレスは不要で、回答は送信されません。

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