ハラスメント研修eラーニング比較|費用・内容・受講管理

ハラスメント研修のeラーニングは、料金の形、講座が扱うハラスメントの種類と更新時期、受講記録の取り方の3つで比べます。料金は1人あたりの単価ではなく、入社や改訂で届け直す回数まで含めて比べます。販売元の公開ページで確かめた料金の形の例と、販売元に確かめる7つの問い、2026年10月1日の施行で自社が足す部分を整理します。

更新
2026年10月5日
法令・資料の確認
2026年9月28日
読了の目安
9分
目次
  1. 2026年10月1日から、研修で届ける中身が増えた
  2. 料金の形は5つ:届け直すたびに何が増えるか
  3. 販売元に確かめる7つの問い
  4. どれを選んでも、自社で足す部分は残る
  5. 厚生労働省の公的な教材を比較の基準に置く
  6. よくある質問
  7. ハラスメント対策室の研修

ハラスメント研修のeラーニングを比べる軸は、料金の形、講座が扱うハラスメントの種類と更新時期、受講記録の取り方の3つです。料金は1人あたりの単価だけでなく、入社者や方針の改訂で1年に何回・何人へ届け直すかまで含めて比べると、実際の差が見えます。どのサービスを選んでも、自社の方針と自社で定めた対処の内容は、会社が研修に足す部分として残ります。

この記事では順位づけやおすすめはしません。販売元の料金は、各社が公開しているページで2026年9月28日に確かめた範囲だけを、料金の形の例として示します。料金や内容は変わるため、導入前に見積もりと講座の目次で確かめてください。

2026年10月1日から、研修で届ける中身が増えた

改正労働施策総合推進法は2026年10月1日に施行されました(施行期日の政令)。同法33条1項により、事業主はカスハラから労働者を守る雇用管理上の措置を講じる義務を負います。同じ日から、求職者等へのセクハラについても措置が求められます。

研修そのものは措置義務の項目ではありません。カスハラの指針は、自社の方針と対処の内容を労働者に周知・啓発する方法の例として「研修、講習等」を挙げています(4(1)イ②、p.13/4(1)ロ③、p.15)。これとは別に、同法34条2項は「研修の実施その他の必要な配慮」を努力義務としています。法的な位置づけの詳細は「カスハラ研修は義務?」で整理しています。

比較のうえで大事なのは、ここから出てくる2点です。講座が新しく義務の対象になった種類を扱っているかと、自社の方針と対処の内容をどこで足すかです。

料金の形は5つ:届け直すたびに何が増えるか

公開されている料金ページを見ると、料金の形はおおむね4つに分かれます。これに厚生労働省の公的な教材を加えた5つで比べます。

料金の形 公開されている例(2026年9月28日確認) 届け直すときに増えるもの
買い切り(動画データを購入) リスキルのハラスメント対策研修:249,000円、利用期間・人数の制限なし。mp4で納品され、自社のLMS等で視聴する 人数・回数では増えない。受講の記録は自社のLMSなどで取る(受講サイトの提供はオプション)
期間レンタル(1人ごと) 同じ講座のレンタル:4週間2,490円/人、2週間1,390円/人、1週間950円/人。インソースのハラスメント防止講座:1,870円(税込)〜/人 届けるたびに人数分かかる。入社者・改訂・事案後の再実施のたびに増える
IDの年間定額(講座の見放題) JMAMのeラーニングライブラリ:マネジメントライブラリ(ハラスメント対策コースを含む)を100名で利用する場合、1か月1名あたり約400円(税込)。10名から、年間一括(2025年10月現在の価格としての表示。コースによって料金が異なる) 同じ年の中で届け直しても増えない。年の途中の入社者はIDを追加する(月割り、最低金額の設定あり)
自社の教材を載せるLMS(ライセンスの月額) AirCourseのベーシック(自社コースのみ):1〜99ライセンスで年間一括300円、月間契約360円(1ライセンス・1か月、税抜) ライセンス数で決まる。共通の教材は別に用意する(既製の動画コースも使えるプランは料金が別)
厚生労働省の公的な教材 厚生労働省「あかるい職場応援団」の研修動画:申請や連絡は不要で、ページに料金の記載はない(2026年9月24日確認) ページに料金の記載はない。研修動画の受講の記録は自社で取る

※当社調べ(各社の公開ページを2026年9月28日に確認)。金額はページの表示どおりで、リスキルのページには税込・税抜の表示がありません。最新の料金・条件は各社のページでご確認ください。

1年で何回届けるかを先に数える

届け直しの回数は、会社の都合だけでは決まりません。厚生労働省の企業マニュアルは、研修を全員が受講して定期的に実施することが重要とし、中途入社の従業員やパート・アルバイト等にも入社時に研修や説明を行うよう勧めています(推奨、印字p.34)。指針も、カスハラが起きた後の再発防止の例として、方針と対処の内容の研修、講習等を改めて実施することを挙げています(4(3)ハ②、p.21)。

そこで比べる前に、次の3つを数えておきます(以下は当社の整理です)。

  • 在籍者の数:パート・アルバイト、顧客対応のない部署、受け入れている派遣労働者を含めた人数
  • 1年の入社者の数:入社のたびに1人ずつ届ける人数
  • 全員へ届け直す回数:定期の実施、方針や対処の内容の改訂、事案の後

1人ごとのレンタルは、この3つを足した延べ人数に比例して増えます。買い切りとIDの年間定額は、延べ人数が増えても費用が動きにくい形です。人の入れ替わりが多い職場では、IDの追加の条件(JMAMは中途入社等で足りなくなった場合に月割りで追加)や、退職者のライセンスを入社者に付け替えられるか(AirCourseは可能と記載)も見ておきます。

販売元に確かめる7つの問い

料金の次に、講座の中身と記録の取り方を確かめます。公開ページで分からないことは、販売元に直接聞きます。

  1. 目次に、自社に要る種類が入っているか。 同じ「ハラスメント研修」でも、扱う種類は講座で違います。リスキルの上記の講座はセクハラとパワハラを扱い、同社のサイトには別にカスハラ研修のカテゴリがあります。JMAMのライブラリには、カスタマーハラスメント対策コースがあります。インソースの上記の講座の目次は、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントです。カスハラを全員に届けるなら、カスハラを扱う講座を組み合わせます。
  2. 撮影日・更新日はいつか。 カスハラと求職者等セクハラの指針は、2026年2月26日に告示されました。撮影日や更新日を公開している販売元もあるので、それより前の講座なら、指針の内容をどう扱っているかを聞きます。
  3. 自社の方針と対処の内容をどこで足せるか。 足し方は3通り見られます。自社の教材をサービス上に載せる(JMAM、AirCourse)、販売元が組織の方針や社内規定の説明を動画に盛り込む(インソースのカスタマイズ)、買い切りの動画を自社のLMSで自社の資料と並べる(リスキルの買い切り)、の3つです。
  4. 採用面接の担当者向けに、自社の面談ルールを載せられるか。 求職者等セクハラの指針は、面談の時間と場所の指定、実施体制、やり取りに使うSNSの種類などの規則を定め、労働者に周知・啓発する研修、講習等を例に挙げています(4(1)ハ①、p.10)。規則は会社ごとに違うので、汎用の講座には入りません。
  5. 受講状況を人ごとに出せるか。確認テストは料金に入っているか。 リスキルのレンタルは各受講者の実施状況を出力でき、全講座にテストが付いています。インソースの上記の講座は、テストがオプション(11,000円、税込)です。
  6. 契約が終わった後、記録はどこに残るか。 リスキルのレンタルは閲覧結果等を利用終了後も見られると書いています。AirCourseの有料プランは受講履歴の保存期間を無制限としています。どの場合も、契約を終える前に記録を自社で書き出して保管しておくと、販売元を変えても記録が途切れません(当社の提案)。
  7. 受講に何分かかるか。 受講を業務として求める研修の時間は、労働時間として扱います(労働時間の適正な把握のためのガイドライン 3ウ、p.2)。動画が長いほど、勤務時間の中に確保する時間も増えます。

受講記録に残す項目と保管の考え方は、ハラスメント研修の受講記録の残し方で整理しています。

どれを選んでも、自社で足す部分は残る

厚生労働省の解釈Q&Aの問20更問は、業界団体が作成したマニュアルを配布するだけでは、方針と対処の内容を周知する措置義務を果たしたことにならないとしています(印字p.26)。同じ問答は、自社の実情に応じて方針と対処の内容を定めて周知すれば措置義務を果たしたことになり、その際に業界団体のマニュアルを併せて配ることは効果的だとも書いています。eラーニングの講座について直接答えた問答はありませんが、汎用の講座にも同じ考え方が当てはまると考えられます(当社の解釈)。

そのため、eラーニングは「共通の部分」を担う手段として選び、自社の部分は別に用意します。

  • 共通の部分:ハラスメントとは何か、正当な苦情や指導との違い、対応の基本。販売元の講座や公的教材で扱える
  • 自社の部分:カスハラには毅然とした態度で対応し労働者を保護する旨の方針、自社で定めた対処の内容、採用担当者向けの面談ルール

対象は全ての労働者です。指針の「労働者」はパートタイム労働者や契約社員などを含む、事業主が雇用する労働者の全てで、派遣労働者を受け入れている会社も同様に措置を講じる必要があります(2(3)、p.3〜4)。解釈Q&Aの問8は、顧客対応のない部署の労働者にも周知が必要としています(印字p.12〜13)。ID数やライセンス数を見積もるときに数えるのは、この範囲の労働者です。

対処の内容をまだ定めていなければ、研修を選ぶ前に「カスハラ対応マニュアルの作り方」を参考に定めます。対象ごとに何を教えるかは「ハラスメント研修の内容」、面談ルールの中身は「告示52号を項ごとに読む」にまとめています。

厚生労働省の公的な教材を比較の基準に置く

厚生労働省の「あかるい職場応援団」は、事業主向け、相談窓口担当者向け、カスハラ対策、就活ハラスメント対策などの研修動画を公開しています。スーパーマーケット業界と宅配業の業種別カスハラ対策研修もあります。

同じページには、申請や連絡は不要で出典を明示して利用する、一部を切り取るなどの加工をしない、営利目的での使用は遠慮する、ダウンロードできずストリーミング再生で見る、という注意があります。研修動画は自社のLMSには取り込めないので、受講の記録は自社で取ることになります。同じページのハラスメントオンライン研修講座(パワハラ対策のセミナー)には、確認テストがあります。

販売元のサービスを比べるときは、この公的な教材を基準に置くと判断しやすくなります。販売元のサービスで得るものが、講座の中身なのか、受講管理とテストなのか、自社の部分を載せる場所なのかがはっきりするためです(当社の整理)。公的な教材を使った研修の進め方は「カスハラ研修をオンラインで実施する方法」で整理しています。

よくある質問

1人あたりの単価が安いサービスを選べば費用は抑えられますか

1年に届ける延べ人数次第です。1人ごとのレンタルは、入社者や改訂のたびに人数分の費用がかかります。在籍者、1年の入社者、全員へ届け直す回数を数えてから、料金の形ごとに1年分を見積もって比べます。

eラーニングの講座を受けさせれば、10月からの義務は満たせますか

研修に関わる措置の中心は、自社の方針と対処の内容を全ての労働者に周知・啓発することです(措置義務には、相談体制の整備なども含まれます)。販売元の講座には自社の方針と対処の内容が入っていないので、講座とは別に届ける必要があります。解釈Q&Aの問20更問が業界団体のマニュアルについて示している考え方を、講座に当てはめたものです。

見積もりのときにID数に入れるのは誰ですか

在籍する全ての労働者です。パート・アルバイト、契約社員、顧客対応のない部署の人、受け入れている派遣労働者を含めます(指針2(3)、解釈Q&A問8)。年の途中の入社者の分も見込んでおきます。

ハラスメント対策室の研修

ハラスメント対策室の研修は、共通編・一般従業員編・管理職編・人事・相談担当編・顧客対応者編・採用担当者編・発注者・進行責任者編・経営・導入責任者編の8編です。確認テストがあり、受講記録が残ります。各社に共通する内容を扱う教材なので、自社の方針と自社で定めた対処の内容は、会社が研修と併せて伝える部分です。

料金は従業員数の段階で決まる月額で、研修を含む全ての機能が使えます。金額は料金ページで確かめられます。全8編を確認できるのは、契約中の管理者です。契約前でも、共通編の冒頭4分19秒をログインせずにサンプルで見られます。

研修動画のサンプルを見る(共通編の冒頭4分19秒・ログイン不要)

出典

研修動画のサンプルを見る(共通編の冒頭4分19秒・ログイン不要)

研修動画のサンプルを見る(共通編の冒頭4分19秒・ログイン不要)

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